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くつろぎタイム2024年9月号を発行しました
くつろぎタイムでは、おすすめの書籍を紹介します。
くつろぎタイム2024年9月号 [PDFファイル/194KB]
アスリートの本棚
今年の夏は、パリ・オリンピックで世界中が熱く盛り上がりました。現在は、パラリンピックも開催中。今月は、日本を代表するアスリートたちがおすすめする本を紹介します。
田中希実(陸上 中長距離)
- 『引き出しの中の家』朽木祥 作 ポプラ社
- 『翼がなくても』中山七里 著 双葉社
インタビューの際、自分の思いをきちんとした言葉で語る姿が素敵な田中選手は、読書家としても知られています。そんな彼女が好きな本のジャンルとしてあげているのが、日常の中で小さな不思議が起こるファンタジー作品。『引き出しの中の家』は、女の子と「花明かり」と呼ばれる小人との交流を描いた児童文学です。
また「陸上選手である主人公の走りの感覚を表現している部分にとても共感した」とコメントしているのが『翼がなくても』。不慮の交通事故で片足を切断することになった、短距離ランナーが主人公のミステリー作品です。
長谷部誠(サッカー 元日本代表)
- 『人を動かす』D・カーネギー 著 創元社
- 『道をひらく』 松下幸之助 著 PHP研究所
長谷部さんはサッカー日本代表の主将を長く務め、今年5月に惜しまれつつ引退しました。自著『心を整える。』(幻冬舎)の中で「読書は自分の考えを進化させてくれる」と書いており、出版当時「本を読むアスリート」として一躍有名になりました。
ドイツリーグに所属した彼は、長い海外生活の中で哲学や自己啓発の本をいくつも読み、読書ノートに記録し続けました。
紹介した2冊は、人の心をつかむ方法や、日本代表として世界で戦う心構えを確立するきっかけになった本だそうです。
大谷翔平(野球 メジャーリーガー)
『運命を拓く』中村天風 著 講談社
今や「世界一有名な日本人アスリート」となった大谷選手。去年、そんな彼が愛読しているとして話題になったのが、この本です。
中村天風は、明治生まれの思想家です。この本の中に、「天風哲学」として「いかなる場合にも、常に積極的な心構えを保持して、堂々と人生を生きよ」と書いています。大谷選手があらゆることにポジティブな姿勢でいるのは、この考え方を実践しているからかもしれませんね。
鈴木孝幸(パラ水泳)
『ボッコちゃん』 星新一 著 新潮社
鈴木選手は5大会連続でパラリンピックに出場し、パリ大会にも選出されています。
文部科学省のホームページに掲載されている「きみに贈りたい一冊」の中で、この本を紹介しています。星新一は短編小説の中で、現代社会や人間の持つ愚かさを、皮肉やユーモアを交えて描く作家です。鈴木選手は「僕は読書が苦手だったけど、この本は楽しく読めました」とコメントしています。